皆さんこんにちは。
えー、今日は時間ないのですみません小説だけです……お許しを。
「君がここに居たこと」
・君との頁
〈8〉
僕がいつも読んでる『こころ』は、僕が小学校低学年の頃、単身赴任で東京へ行くことになった父が置いて行った本だ。
荷物は最小限にしたいと、父は殆どの本やCDを持たずに家を出た。
自分でもなぜその中からこれを選んだのか分からないし、そもそも低学年の僕にはなにが書いてあるのか分かるはずもなかった。
それでも、なぜか楽しかった。
意味もなく、楽しかった。
それから何度も何度も僕は読み返した。
その度にスピードが上がり、それでも読むたびの満足感は変わらなかった。