はじめに
コロナ禍の今年もなんとか開催する事ができた正月の風物詩「箱根駅伝」。駒澤大学が13年振りの総合優勝を果たし幕を閉じました。
沿道での応援自粛が呼びかけられているにも関わらず、
沢山の人が沿道に……とまあ、そこは置いておいて。
今回このブログで取り上げたいのは、準優勝した創価大学のアンカー10区・小野寺勇樹選手へのSNS等での戦犯扱いです。
小野寺選手は、スタート時点で3分19秒あった2位駒澤大学との差ををひっくり返されてしまいます。おそらく精神的プレッシャーが原因とは思われますが、多くの駅伝ファン(と呼びたくは無い)や全くの部外者から、戦犯、A級戦犯呼ばわりされているのです。
おっそw
— 岡田英治 (@sJUoTwqeEWqdxJx) 2021年1月3日
戦犯やんけお前
創価の小野寺くん戦犯すぎるだろ
— きのこ帝国 (@o61aDSx1WJeELVV) 2021年1月3日
あんな事やられたらチームメイトはたまったもんじゃんないよ
迷惑かける奴は就職先もないだろうな
「創価大学の小野寺くんもよく頑張った!何も悪くない!」と援護の嵐だが、どう考えてもA級戦犯だろw下手に慰めるのは逆効果
— カバお (@kaba013) 2021年1月3日
#箱根駅伝
そ創価の小野寺マジで草
— さくらの華 (@DqMybH6AXtFCW92) 2021年1月3日
9人繋いできたたすきを台無しにしたA級戦犯。
国民の期待を見事に裏切ったその走りに乾杯(笑)#箱根駅伝2021 #創価大学 #創価の子
これらはあくまで一部であり、もっと沢山の誹謗中傷ツイートがあります。
この事について、私の意見を書いていきたいと思います。
本人のリプ欄に、意図的に批判を書き込むのは誹謗中傷である
SNSがあらゆる人に普及した昨今、Twitterをはじめ様々なネットサービスでの誹謗中傷が問題となっています。記憶に新しいもので言えば、昨年亡くなったプロレスラーの木村花さん、俳優の三浦春馬さんの事例だろう。
いずれもSNS上での心ない書き込みが自殺の引き金になったと考えられており、警察が介入する事態となっている。
先程示した小野寺選手に対する「戦犯」扱いのツイート、返信も誹謗中傷に当たる可能性がある。
また、そうした書き込みをした張本人は、事実を書き込んだだけだとか、普通に走れば抜かされるわけがないなどと、自身の書き込みは誹謗中傷ではないとしている。しかし、誹謗中傷かどうかを決めるのは受け取る側(=小野寺選手)である。そもそも、選手本人のツイートに紐付けして書き込む時点で、明確な攻撃意識があるように思えてならない。
さらに、小野寺選手の社会的評価を低下させたとして、名誉毀損罪に問われる可能性もある。
「戦犯」って何? A級は罪の重さではない!
戦犯とは、戦争犯罪人の略語である。例えば、極東国際軍事裁判(東京裁判)で裁かれた東條英機をはじめとする人たちがそう呼ばれる。
近年、ネット上で個人に対し「お前が戦犯だ!」などという書き込みが散見されるが、それらは全くの誤用だ。今回の件に関して言えば、“箱根駅伝”は「戦争」ではないし、“抜かれたこと”も「犯罪」ではない(むしろ攻撃しているツイートが犯罪に当たる可能性があるくらいだ)。
こうした誤用も広がってしまい、今では辞書に載るほどになってしまいました。しかし、辞書の内容を見てみれば、「俗に試合などでチームが負ける原因となった個人を揶揄して呼ぶ言い方」(コトバンク)というように、どの辞書にも“揶揄”などの嘲る、バカにするという意味で書かれています。このようなバカにする言葉を個人に使うのは慎むべきだということは、誰も彼もがわかるはずです。
ちなみに……
戦犯だけでなく「A級戦犯」とツイートする人も見かけますが、これは「A級」と「戦犯」ダブルの誤用です。
先ほども少し書いた、極東国際軍事裁判における規定を引用します。
a. 平和に対する罪
侵略戦争又は条約等に違反する戦争の計画、準備、開始、遂行やこれらのいずれかを達成するための共同謀議への参加等。
b. 通例の戦争犯罪
戦争の法規又は慣例の違反
c. 人道に対する罪
戦前又は戦時中の殺人、せん滅、奴隷的虐使や政治的又は人種的理由に基づく迫害行為等。
このように、A、B、Cは罪の重さをランク分けする物ではないのです。
小野寺選手を批判している人は、まずは日本史と国語の勉強をきちんとするべきだと思います。
そもそも、戦犯は「戦争犯罪」の事なので、勝っても負けても存在する物なんですよね。そういう意味でも、「負けたのはお前が原因だ!戦犯だ!」は全てが間違っているんですよね。
部員でもないのに「迷惑かけた」「他のチームメイトは怒ってる」などと言う謎立場の人
小野寺選手が失速した事でそこまで繋いだ選手や控え選手は迷惑している、怒っているなどの詭弁をする人がいますが、全く根拠はありません。創価大学の他の選手たちは、ゴールした小野寺選手を笑顔で讃えています。これは映像としても放映されています。
お疲れ様です!結果と写真貼ります! pic.twitter.com/B0LnL7nXUb
— 公募推薦で国立大学合格 (@0N0kw7raHNlRhzh) 2021年1月3日
チームメイトの人たちは、小野寺選手の努力を一番知っていると思います。だからこそ、彼がゴールした時、このように讃えることができたのでしょう。良いチームですね。そこに水を差すような事をする人の思考回路は理解しかねます。
まとめ
このような理由から、私は、小野寺選手を戦犯扱いすることは無意味であり、間違っていると考えます。
言葉は刃にもなり得る
そういう意識でSNSを使えるような人が増えると良いと思います。